色々あるけれど、たのしくいきてます。

しがないオタクの大きな独り言です。

​───絶望を生き残れ。「デストルドー9」を観劇しました。

2019年9月21日 上演3日目!!(全出演陣息のあったクソデカボイス)

とんでもない作品を見てきた。長いようで短い命の物語だった。

メインビジュアル公開と共に作品を知った私は友人にたまらず連絡をしたのを覚えています。

「絶対、性癖にクるよ」と。

本当だったね。

 

舞台「デストルドー9」公式サイト

destrudo9.com

 

メインビジュアルと共に記されたキャッチコピー。

生き残れ

なんだそれ。絶対人が死ぬ感じのシリアスな舞台じゃん。(感想)

メインビジュアルは主に白で構築されている明るい画像なのに、どこか仄暗さを感じた。

 

世界観が好きそうだし、推し(浦尾岳大さん)も出る。観るしかないな。

オタク特有の簡単ワンステップで観劇を決意。

幕が上がると、上手く声が出せなくなった。

 

STORY

簡単にストーリーを説明する。

主人公である束田唯は「青少年育成プログラム」に選出される。このプログラムに選ばれれば将来は約束されたも同然と噂だったが、その実態を知るものはいなかった。

蓋を開けるとこのプログラムは将来の約束などはなく、デストルドーという謎の蝶を殺すための適性者を募っていただけだった。

その蝶はヴォルバキアという菌の感染を促す害虫だ。本来人間に感染しない菌が人間にも猛威を奮い始めた。根絶にはデストルドーを倒すことしかなかったのだ。

9人ひとクラスとなりガラテアと呼ばれる人形(人形ではない)と精神を繋ぎ操作する。デストルドーを倒すためにはガラテアからの攻撃でないと意味がないという。

選ばれた18人の子供たちはわけも分からないままにガラテアとアラブォーナス(契約、結婚)させられてしまう。大人たちはもっとも優秀なクラスをデストルドーと戦わせるために、小手始めにふたつのクラスを殺し合わせるのだった​────

というのが導入部。

失礼かもしれないたとえだけれど、分かりやすく言うと複数人で操るエヴァンゲリオンみたいなイメージ。

精神を繋げ、個々人が人形の部位を担当する。故に右腕が壊されれば右腕を担当する子も精神が壊されて、生きながら死んでるのと同義となってしまうし、心臓を担う子が死んでしまうと精神で繋がれている9人全員が死ぬ。

心臓であるカルディアと呼ばれる少年が主人公の束田唯。彼がデストルドーとアラブォーナスしてしまったことで眠りにつき手出しが出来なくなってしまったため、解放するためには束田唯を殺さなければならないが、彼が死ぬと同じチームのメンバー全員が死んでしまう。

全滅を逃れるためには彼だけでも護らなきゃいけない。その上ヴォルバキア菌の蔓延があるがゆえに彼らは外界から遮断され施設に閉じ込められてしまい逃げ場はない。選択肢もない。

殺されるか、殺すか、死ぬのを待つか。

彼らは一体何のために生まれてきた命なのか

そんなことを問う舞台でした。

 

伏線の嵐

地元の小劇団の舞台を観劇したことはあれど、観劇経験は少ない。舞台に触れるのは高校までで止まっていた。こんなにも前情報がしっかりしている舞台は経験がなかった。もしかしたら珍しいタイプだったのかなと思う。

簡潔に言うと福利厚生がすごい。

・公式Twitterは作中の時間になぞって報告を上げていた(観劇してからからくりに気が付いた)。

・登場人物である小早川綜真の個人アカウントが存在していた。

・人物紹介を兼ねたアプリケーションの配信があった。

観劇したあとだからわかる。全部が伏線だった。

読み返す度に恐怖で背筋がぞわりとした。

似たような感覚を経験したことがあったなあと思ったら、『さよなら絶望先生』の最終回への怒涛の伏線回収を見ていたときと同じだ。結末を知ってから始めに戻るとあれもこれもと伏線に気が付いて戦慄する、あの感じ。

そして小早川綜真のTwitterがすごい。

観劇前にもっとリンク読んどけばよかったな〜ってなった。(普通に観劇前に見つけんのムズいやろ!が本音ですが)

プロジェクトF(青少年育成プログラム)に関連する記事(共生細菌ヴォルバキア菌や昆虫に関する研究記事など)とかRTしてたり、ツイートしてたりしたのを後から知ってぐぬぬ…ってなった。見えていた鍵を拾わないのは勿体ないという自戒です。

あとタイムリーに「ヴォルバキア菌による蚊の根絶に成功した」という記事が上がっていたのは怖くなった。原理としては全く同じことがプロジェクトFの被害者の中で起きてたんだなとわかりやすい記事だからこそ生々しく…みんな読んでくれよな。

gigazine.net

 

小早川綜真という普通の男の子

twitter.com

Twitterを見ると小早川綜真は私たちと同じ時を歩んでたし、普通のどこにでもいそうな男の子だった。

確かにこの世界のどこかで生きてるって思える作り込みがすごい。なんだろう。生きてるんだから作り込みじゃないか。

ツイートに対するふぁぼりつ(ツイ廃を感じる語感)の数とフォロワー数がめちゃめちゃにリアルでそれすらも本物さがでててすごい。何物でもない男の子のリア垢感。

私たちが小早川綜真をこの世に存在させている感じがある。公演後なので多少フォロワー数には変動あるけど。

水族館でくらげを見るのが好きだったり、お兄ちゃんのことが好きだったり、嫌いだったり、お兄ちゃんの恋人がウザったかったり。死にたくないと願ったり。

人間味が強い子だなって感じが凄くした。

当たり前に生きて、悩んで、絶望して。でもTwitterでは多くは語らない感じ。リア垢を持ってる人はうんうんと頷くと思うけれど私たちと同じって感じ。

Twitterを見てなくて、そんな背景を知らず、実際に9日間の中で見る小早川綜真はもっと冷たく感じた。

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これに関しては公演後に見たらしんどすぎてRTしてた。

 

本当の綜真は全然違ったんだよね。

「だいじなものはみんな嫌いにならないといけない」と強迫観念のように呟く綜真が冷たい心を持つわけがなかった。

彼の振る舞いは誰にも好かれず、好かず過ごすことを決めていたからなんじゃないかなって、ぼんやり思うのです。

出会う前からツカダユイを求めていた綜真。

「どんなやつだろう」

「そいつだけは守らなきゃ」

それは原因であることを知っているからこそ、唯の死が己の死に変わることと幾実の計画の先が唯に繋がることを察していたからなのかな。そう思うと同時に、好きなひとや大切な仲間を作ってしまうと辛いから、という防衛だったのかな。

 

ずっと唯のことを「お前」としか呼ばなかった綜真……。最後に唯の名前を呼んでくれてありがとう……。

そんなのずるいって分かってるのにめちゃめちゃに泣いた。

 なれたよ。

 

本編感想

二階堂優という男

感想をひとことでまとめると、澤山要二階堂優の関係性にクソデカい感情を抱きすぎた

あの緩急はズルい。

ズルいよ…。永遠に泣けちゃうね…。

 

当方、浦尾岳大さんのファンなんですが、贔屓目なしに二階堂優はとても魅力的なキャラクターで、冒頭はちょっとやばいお兄さんなのかな? って思わせておいて、本質は全体をよく見て冷静な判断を下す、促すことができるひと。背中を押す一言を投げかけられるひとでした。

アプリで見た時に「こういうやつ乙女ゲのキャラでいるじゃん!」って話してたのは秘密。

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攻略させてくれ。

(会場限定ブロマイドは見た瞬間に「スチルじゃん!?」って言いました。)

※汐谷さんのツイートは移籍と共に消えてしまっていたのでリンクが途切れてしまっていましたが、以下のような内容でした。

そう!そして、今日はやのちんとちばしょーくんが観に来てくれました!うらおっちのブロマイド買ってくれてたので、真似して撮りました。#デスナイン

SideMのオタクなので見た瞬間に気が動転してしまいましたよね。

一緒に添付されていた画像にて、皆さんが手にしていたのが会場限定ブロマイドです。画像に関しては転載になるのでここでは控えておきます。

 

なんかもう…どうせみんな感想で沢山言ってるから言わなくてもいいんじゃないか?と思うんですけれど、やっぱり「じゃあみんなで仲良く自殺しよっか」というセリフでぞわっとしました。

絶望のふちに立たされたEクラス。もうダメかもしれない。どうやったって死ぬ未来しかないのだと話すEクラスの面々に対して言い放った一言がこれでした。

無理して明るく話しているようで、でもどこかに優しさの含んだ声と笑顔。そのあとの「まだ死にたくないんだろ」がぐっと低い声に変わる。

なんかハッとさせられたんですよね。この優の台詞に。

「死ぬしかない」とか「主役はSクラスだ」とかマイナスな方向に動くEクラスの感情を肯定するように「じゃあ自殺する?」と持ちかければ、弱音が本心じゃないことを誰もがわかっているからこそ黙り込んでしまう。彼が言うように誰だって「死にたくない」んだ。

「アフティ(耳)」である優くんは遠回りながらみんなの心に「聞いて」空気を変える一言を投げかけられる男の子だったのかなあ、と贔屓目をしてしまう。

先導者にはならないけれど誘う役割をする人がいたから立ち向かえたのかなって。まあ結果はまた別の話なんですけど。

 

そして、語彙を失いすぎて何も言えない状態ではあるものの、B&Eされたあとの要との関係が私の涙腺です。

ずっと優しく抱きしめて、撫でて付き添って。

ダメになってしまった子を切り捨てるように排除したSクラスとちがってEクラスは要に優しく寄り添っていた。大きな対比だなと思いました。

優が要へと伸ばした手がやっと触れたと思ったらその相手は自分を二度と認識しないなんて辛くて仕方がない。

それでも、要には優のように手を差し伸べてぎゅっとしてくれるひとがいてよかったなって…。

演出上叫ぶことが後半できなかったと思うのですが(メタ発言)周りが悲鳴をあげる度に震えたり、暴れたりする要を会話の中でもそっと抱きしめる優が本当に優しくてよかったです。「お気に入り」だからという感情でここまで優しくできるのかな。守りたいって気持ちがあったんだろうな。

上手く言えなさすぎてここまでで終わります。(辛い)

 

全体感想

希望って、絶望ってなんだっけ

それが私の第一の感想でした。

副題として掲げられていた相反する単語。これが話の分岐となるキーワードだった。(正確に言うとEクラスの彼らに遺された「モノ」だったけれど)

この言葉の意味をずっと考えていて、たどり着いたのは『視点』。

誰にとっての希望であり絶望なのかということ。

誰でもない第三者のことかな?と私は思いました。

だって、デストルドーを閉じ込め、ヴォルバキアに対抗するワクチンの開発が成功しても(絶望編のラスト匂わせより)いつかデストルドー自身が力を強めてワクチンが無効になるかもしれない。慰めの措置にしかならないかもしれない。

それは希望とは呼び難い。

ならば、半数以上が死に至ったとしても根源に立ち向かいSクラスのメンバーがデストルドーに打ち勝っていたとしたら。この先誰もデストルドーに苦しめられることはない。彼らは希望になり、救世主とされるだろう。

(アフタートークイベントで小早川幾実役の寺木彗佑さんは「(自分たちは)即死」だと話していたようですが…)

私たちは彼らが死に抗う様を見ているから、言葉の意味が分からなくなる。

でも、普段ニュースで目にしている惨劇は内情などに興味を抱かず結果だけを享受している。

この副題もきっと同じことだったのだろうなあと思いました。(感想文)

なんて冷たい言葉だろう。希望とは、絶望とは。

願わくば誰も死なないでこの先の未来を生きてほしい。

叶うのは、絶望の世界だけ。

 

ここで初めから私たちは答え…というかヒントが明示されていたことに気がつく。

『絶望を生き残れ』

絶望の世界の中をもがき生き残れ、そういう意味だと思っていた。

裏を返すと『希望を生き残れない』とも捉えられる。

これを思いついた時にこの作品は固定概念で見ちゃだめだなって思った。いやこれも考察なので意図しないものかもしれないですけどね。

 

エニアグラム診断

エニアグラムにのっとって割り振られたピグマリオンとしての役割。

綜真のTwitterで「Eクラスのカルディアはツカダユイだ」と早々に知っていたような書き込みがあった。

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集会で集められたときにでも簡単な試験として受けさせられていたのかな。

 

演者の皆さんもやってみたって、寺木さんの個人配信で伺いました。だいぶ前のことみたいで結果覚えていなかったみたいでしたけど。

(「幾実と同じじゃなくて安心した」って発言していて少し笑った)

私も簡易的に診断できるサイトを見つけたのでやってみたら『』でした。

shining.main.jp

 

 

作中に則れば「デクシアマティ/右目」。

芸術系の思考を持つひとの数字らしい。

要と環が4だったのもなんだか納得。

あと、診断の中で『10代の気持ちで考えて』という言葉が目に入り(10代を捨てた私には難しかったのですが)「若ければ若いほどよい。20代だともうダメだ」という織原さんのセリフを思い出しました。

エニアグラフを判断するためには10代の思考が必要。この頃がその人の本質になる思考らしいですね。

若ければ若いほどに正確なものとなる。ブレがない。だからこそ『アラヴォーナスしやすい』だったのかな。

これもまたひとつの考察です。

単純にデストルドーが若い男のほうが好きだっただけかもしれないけれど。作中において種の繁栄のためという研究もでてたみたいですしね。

 

先日のアフターイベントについて

めちゃめちゃに行きたかった。

涙ながらに語るも、時すでに遅し。抽選結果を見たときに脳が拒否をしたのか文字が読めなくなって友人に「これなんて書いてる?」って確認した。どう見ても落選だった。

手紙を代理で届けてくれた友人に感謝。お前が当選してよかった。心から愛しているよ。

(新井さんのSNSにて握られた私の便箋を目にして届いたことがわかったときは本当に嬉しかった…お世辞でも「宝だ」といってくれる優しさ。オタクは陥落です好きだ)

 

あと、ロスが激しくイラストを描いたり短歌で心を鎮めたりしていました(積極的な垢バレ)

短歌て。

気が狂っていたのがよくわかります(気が動転すると短歌を詠むタイプのオタク)

そんなこんなで迎えた10月6日21時。

あっ。

 

10月6日!!予告日!!!

毎回やりたすぎてごめん。

 

新作ってどういうことですか……。

ありがとう世界。生きててよかった。嬉しくて血涙が出る。

 

今回作中でも話に上がっていた『全滅したBクラス』の戦いを描くということで……。結末が分かっているからこそ観るのが怖いよ…。怖いね。死ぬところを観に行くってことでしょ…怖いね…ふふ。

予告PVの文字も気になるものばかり。

無能なエンケパロス、事故。

最凶のカルディア、女帝。

死ぬことがわかっている少年たちの足掻きを観にいくってどんなサイコ劇場なんだと思いながらも(暴言)楽しみです。

 

そうそう、今の今まで原作鬱展開の作品が二次創作で学園パロディが流行るのが「なんで?」という気持ちだったのですが今回やっと理解に到達しました。

楽しい学園生活……(©守野純) 送ろうね。

(とか言っていたらアフイベでやったと知り死に申した。メークイン頼…お前が俺たちの希望だ)

 

追記

まもなくひと月が経とうとしてるんだって。

昨日のことのように思い出すだけに有り得ないという気持ちでいっぱいです。

毎日のように演者さんがデスナインの話をなさっていたのも影響してるのかもしれないです圧倒的感謝……ッ

一介のオタクとして、物書きとして、創作者として。色んな言い方は出来るんですけど今回舞台を観劇したことでありえん刺激になることが沢山あって。

ああ、これこれ。みたいな。

上手く言えないんですけど揺れ動く感情が多分にあったことが本当に嬉しくて観に行けてよかったなと。強く思ってます。

 

学生時代から暗い作品ばかりを制作してきた私ですが、またこれからも細々と小説なりなんなり作りたいし、また舞台もやりたいな。とか。

人生の選択肢増やせるうちに増やそうって思えた。生まれてきた意味を作るのは私にしか出来ないから、「生まれてきてよかった」って思えるために生きなきゃね。

 

 

さて、今日もデストルドーに囚われた女はストロング片手に街を往く。解放の時はまだ来ない。